■□■□  島田市地元の建築家ユニット【コバヤシ建築】でつくる木の住まい ■□■□

  『 鉄骨の家 』 島田市内【 Mさんの家 】

                                    No04       2007年春 完成 
                      ☆ このボタンを押して他の記事も読んでください       
                     ※ 画像をクリックすると拡大します。戻るにはブラウザの
戻るボタン をクリックして下さい。

木造、すなわち在来軸組み工法にしても、木質集成構造材と接合金物、構造計算によって成り立つSE構法にしても、重量鉄骨造の建物との本質的な違いは一般の方には分かりにくいかと思います。建設コストを別とすれば、結果として快適かつ安全に長く住まうことが出来れば、なんだっていいというのが大多数の方の気持ちかもしれません。幸いにも重量鉄骨造の建物も企画設計から施工までをやらせていただく機会もありましたので、現場の画像を交えて少し比較対照してみたいと思います。
 建物を作る場合、その建物自身の重さ(鉛直方向の力)と地震時に働く横へずらそうとする力(水平方向の力)を地面へうまく伝え逃がして、その建物自体が変形または破壊しないように設計しなければなりません。これが構造設計です。素人の方が間取りをプランする場合、この構造力学的な配慮が出来ないため、多くの場合は我々建築家がそのプランを元に構造的に安定した間取りに作り変えることになります。
重量鉄骨造3階建て住宅の場合、この力を伝える「主柱」は通常5,6mごとに一本の割合で配置しますが、1階から3階まで出来るだけシンプルに力を伝達したいため、上下階で柱の位置を一致させます。木造在来の場合、数十本の柱で力を伝える、即ち荷重を分散させる方法をとるのに対し、重量鉄骨造の場合はこのように集中荷重となります。この画像のMさんの場合、主柱が6本ですので、建物の重さと地震時に加わる力をこの6本の柱で受け持つ勘定になります。ですからその建物を支える基礎構造もこの柱を中心に構成されることになります。そのため、基礎工事がどうしても大掛かりなものになり、隣家が近接している場合などはその対策が大変です。
上の画像は、鉄骨柱脚の基礎の様子を撮ったものですが、このコンクリートの塊が建物の荷重を支えるベースといわれるものです。この接地面積が大きければ大きいほど建物が沈もうとする動きに抵抗するというわけです。
 それではいわゆる地中梁は何を担当しているのでしょうか。画像で「鉄筋」が縦横に走っていますね。これは動物の体に例えていえば、まさしく「筋」に当たるものですが、肉である「コンクリート」と合体して初めて丈夫な構造体{筋肉」を作ることが可能になります。これが鉄筋コンクリートの仕組みで、コンクリートは圧縮の力には強いが、引っ張りの力には大変弱いという素材の性質を補った智恵です。この鉄筋コンクリート造の地中梁が何をしているのかというと、構造体を構成する部品である柱が地震時などにばらばらに挙動しないように柱の足元を固定しているのです。二人三脚で足を縛りあうようなものです。
 さらには地震時には柱部に突き上げの力が発生しますが、その柱が上に引っ張りあげられた場合、柱脚がこの地中梁から離れないように頑固に結び付けておかねばなりません。これが柱脚アンカーボルトであり、施工性能の必要から近年では「ハイベースセット」などの専用部材で構成されるに至っております。左上の画像になります。
 このように木造在来軸組み工法が自然発生的にトライアンドエラーを繰り返し発達してきたのに対し重量鉄骨工法は力学的に理詰めで発達した感があります。それもそのはずで鉄骨造がこの世に生まれ確立されたのは比較的最近で、1889年のパリ万国博覧会用に建てられたエッフェル塔が金属産業の独創的傑作として出現してからのことなのです。もちろん産業革命後のことですが、「鉄」と一口に言っても現在建築に使われるのは合金である「鋼鉄」で、鉄は、そもそも炭素の含有量により性質が異なり、エッフェル塔建造前に使用されていた鉄は、炭素含有量が多く”鋳鉄(ちゅうてつ)”と言い、”強度は大きいけれど、もろい”という性質の鉄です。それを改良して不純物を取り除き炭素量を少なくした「鍛鉄(たんてつ)」を大量生産する技術を確立することができたから300mもの高さの鉄塔が建造できたといえます。今日の記事はためになりましたでしょ。